アイデアとは何か(宮本茂の言葉)


岩田

で、ゲームの話に戻っていうと、多くの場合、

おもしろさが足りなくて悩むわけです。

当然ネタがたくさん仕込まれてるほど、

おもしろいわけだし、人は満足してくれる。

でも一方で、つくるのに割り当てられる

人材の量や時間は有限です。

有限の中で「多いほどいい」って言われたって、

解決できないわけですよね。

でも、ときどき、たったひとつのことをすると、

あっちもよくなって、こっちもよくなって、

さらに予想もしなかった問題まで解決する、

というときがあるんですよ。

糸井

はい、はい。

(周囲のスタッフに向かって)

もう、おもしろいだろう?

一同 (笑)


岩田

そういう「ひとつのこと」を、

宮本さんは「ないか、ないか」って

いつも考えてるんです。

ものすごくしつこく、延々と。

昔、わたしが山梨に住んでたころ

(岩田さんが以前社長を務めていた

 HAL研究所は山梨県にある)に、

突然、宮本さんが電話を

かけてきたことがあるんですけど、

その第一声なんだと思います?

「わかったよ、岩田さん」って言うんですよ。

もちろん、わたしには

なにがなんだかわからないんですけど(笑)。

糸井 (笑)


岩田

宮本さんが「わかった」と言ったのは

そのときにいっしょにつくっていたゲームの

イデアだったんですけど、まさに、

「このアイデアで、悩んでる問題が、

 三つ四ついっぺんにきれいになる」

というものだったんですね。

糸井

まさに、それが「アイデア」だと。


岩田

そうなんです。

ひとつ思いついたことによって、

これがうまくいく、あれもうまくいく‥‥。

それが「いいアイデア」であって、

そういうものを見つけることこそが、

全体を前進させ、ゴールへ近づけていく。

ディレクターと呼ばれる人の仕事は、

それを見つけることなんだって

宮本さんは考えているんですね。


フレームワーク脳を打ち破る宮本茂の言葉