川を守る戦い方

戦争のとき、敵が川をはさんだ向こう側に陣取っていて、味方がそれを守るときには、川から一歩引いた場所で迎え撃つのがセオリーなんだという。


「敵が川を越える」というのは、何となく負けイメージだし、川の両側は土手だから、川岸ぎりぎりで守備を行うと、なんだか固い守備ができそうなのだけれど、これをやってしまうと、渡河した敵と、川向こうからの敵の援護射撃と、両方を相手にしないといけないので、激戦になって、お互いのダメージが大きいのだと。


むしろ相手に川を明け渡してしまうことで、ちょうど相手の半分が川向こう、半分が川を渡ったあたりで戦闘が始まる場所に陣を構えると、相手が分断されて、少ない戦力を相手に戦闘を行えるので、川が守れていないようでいて、見かたの犠牲を最小限にできるような、有利な状況で戦闘を開始できるのだという。


味方が守らなくてはいけないのは、もちろん味方の命であって、「川を明け渡す」というのは、単なる象徴にしか過ぎないのだけれど、川を死守して味方の犠牲をいたずらに増やしてしまうような、守るべきものを間違えた戦いかたというのは、たぶんいろんな場所でおきている。


すべてを守る戦い方は、全面戦争になって両者共に疲弊し、勝利しても味方の被害が大きく残ってしまう。一歩引いた戦い方をしたほうが被害を最小限に抑えることができると思う。


203高地症候群のこと