無料が選択を狭める

補助金制度だとか、何かの理由で医療費が無償になると、人によっては、薬に対する態度みたいなものが大きく変わる。もちろん全然変わらない人もいるんだけれど、変わる人は、外来3回ぐらいでがらっと変わる


無償になった人は、高価な薬を好むようになる。ジェネリック品というのは、たとえば薬のフォントがゴシック体であったり、薬のパッケージが、色つきのアルミから無地になったり、どことなく値段が安く見えるんだけれど、そういう些細なことが、無償ユーザーになった人には、我慢できなくなるらしい。


正規品を作っているメーカーは、安価なジェネリック品に対して「品質」で対抗しようとしているけれど、それをきちんと理解して、それを感覚できるのは、むしろ支払いから自由になっている人のほうが多い気がする。あれなんかを見てると、「お金を持っている人に品質を訴える」という、一見当たり前の広告戦略は、どこか間違っているような気がする。


足すこと引くこと
「その道具を定義する動作」というものがあって、そこに何か新しい動作を「足す」ことは難しいし、そこから何かを「引く」、あるいは「隠す」と、今度はその道具が持つ意味が書き換えられてしまう。